
電子カルテを大きく分けると、一つのデータベースの中で電子カルテとレセコンのやり取りが完結する「一体型」と、電子カルテとレセコンのデータベースがそれぞれ独立した「連動型」の2種類がある。ここ1、2年の間に診療所向け電子カルテ市場では、連動型から一体型への移行が急速に進んでおり、現在発売されている診療所向けの電子カルテの多くが一体型という時代が訪れている。しかしながら、三洋電機はそのような中、ユーザーのことを第一に考え、連動型と一体型のあえて2種類のラインナップを用意している。それは、電子カルテの普及過程において、段階導入の必要性を重要視しているからだ。新規開業の医師は、いきなり一体型の電子カルテを導入するのが主流になりつつあるが、既存の開業医では現在のレセコンを維持しながら、後から電子カルテを追加する、そういった要望が根強くある。また、連動型のメリットである安全性、拡張性等を重視される声もある。そのニーズに応えるためダブルラインナップという決断をしたのだ。2つのラインナップを持つことは、確かに生産工程から考えると非効率ではあるが、そこは長年多くのユーザーとともに歩み、ユーザー重視の考え方が浸透している三洋電機ならではの決断である。
電子カルテは“サポート商品”であると言われる。2年に1度の診療報酬改定への対応や製品のリニューアルなど、バージョンアップを繰り返す商品だからだ。見た目や機能は、いずれのメーカーも次第に遜色がなくなりつつあるなかで、選ぶポイントとして「何かあったときにすぐに駆けつけられるだけの人と体制を構築しているか」というサポート力の重要性が増している。
三洋電機は、昭和47年に日本初のレセコンを発売以来、レセコンのリーディングカンパニーとして36年もの実績を誇る。レセコン時代から築いてきたサポート網があり、営業拠点は全国130ヵ所、営業マンは300人以上にも及ぶ。しかも、一人ひとりが何度も診療報酬改定を経験し、医療事務に関する知識が豊富で、今ある機能を活かした運用の提案も柔軟にできる。改定や修理への対応はもちろん、「何もないとき」の対応まで、きめ細かいサポートに定評がある。何かあったときはもちろん、何もないときにも、手厚いサポートをしてくれる営業マンの存在は、ユーザーにとって強い味方だ。
三洋電機は、診療所の約半数のシェアを誇り、「レセコン=メディコム」というイメージが定着するほど、レセコンメーカーとしてトップを突っ走ってきた。
しかし、電子カルテの陣取り合戦はこれからだ。電子カルテは、画面の見やすさや使いやすさ、レセコンとのスムーズな連携などは、「できて当たり前」というレベルに突入しつつあるなか、システムの質だけではなく、営業マンの質もが今後の競争を大いに左右する。両面から見たときに、レセコンのトップシェアを電子カルテでも確立しようと開発に力を入れ、人を投入し、全国にサポート網を構築する三洋電機は強い。“人財”について言及してきたが、特許を取得した“カルテ情報の特定項目を時系列表示する機能”を搭載するなど、飽くなき開発も続いている。
メディコムがレセコンのスタンダードとなったように、一体型・連動型のダブルラインナップを背景に、電子カルテ市場でもメディコムスタンダードの動向が注目される。
製品レポート
MEDiPlaza 統括マネージャー 大西 大輔
2001年一橋大学大学院MBAコース卒業後、同年、日本経営に入社。日本経営グループの情報配信部門「厚生政策情報センター」において厚生行政ならびに病院経営に資する情報収集、発信事業に従事。2002年には医療IT機器の常設展示場「MEDiPlaza」を立ち上げ、企画運営、スタッフ指導、拠点管理などを担当する。2007年よりMEDiPlazaの東京・大阪・福岡の全拠点を管理する統括マネージャーとして、多数の医療機関にIT化のアドバイスを行いつつ、メーカー・販社に対する営業指導等を行っている。書籍については、「診療所の電子カルテ バイヤーズガイド2007」(エムイー振興協会)に執筆協力したほか、「病院を変える150のヒント」(じほう)の編集を担当した。